雨を味方にするともっと写真が楽しくなる。
2020年も半分が過ぎましたね。関東では猛暑明けがそろそろ見えてきた頃なんだと思います。長く続くこの暑い夏に憂鬱になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな憂鬱も吹き飛ばす「雨の日だからこそ撮れるスナップ」をご紹介いたします。雨だけでなく、道具をポイントにした写真の撮り方についてもお伝えしますので最後までどうぞご覧ださい。
今回の記事を通じて、スナップを撮る上で全てに通じる大事な要素をお伝えできればと思います。
雨に最適なスナップ撮影!雨を味方にするともっと写真が楽しくなる。
「何気ない一枚」に「効果的な材料」を入れる方法
横断歩道の真ん中で傘をさした女性が立っているのですが、ただ立っている女性を撮るだけでは少しつまらないと僕は感じました。なのであえてこの女性の周りにタクシーの流れ、つまり動きやブレといったイレギュラーな要素を入れることによって写真をグッと引き締まります。
ポイントとしては、しっかりと構図を作った上で、液晶画面の外にある様々な要素にも意識を向けておくことが重要です。そうすることで意外な要素に気づくことができ、想像を超えた写真が撮れたりもするんですよね。
この時はあらかじめ構図を作ることができていたので、建物の線の水平が綺麗にとれています。また、傘を持った女性の後ろが明るい背景なので、明暗のコントラストがでてより主役が引き立ちます。
このように綺麗な構図の中に、動きのあるイレギュラーなもの、今回でいうタクシーの動体を入れることで、何気ない写真にも面白みがでてきます。
- 液晶画面の外の要素にも意識を向ける
- 何気ないシーンにイレギュラーな要素を入れてみる
雰囲気の出る、水滴がついたガラス越しの風景
ガラス越しに撮影したのですが、F値を開放気味で撮ると水滴がただのボケになってしまうので、これが水滴だとわかるくらいのF値に調整しています。
ここでは傘を持っている女性を主役にし、あえて傾いた構図にして動きを出してみました。このように、階段やトンネルなどの規則性のある形のものを少し斜めにして撮ってみると雰囲気がでて面白いと思います。これは、僕がスナップを撮る時に意識しているコツのひとつですね。
この写真では周りが暗く、中心の明るい部分に目がいくため、主役の被写体が引き立っている点もポイントです。それによって、「スカートの黒」と「傘の白」のちょうどいいバランス感にも注目してもらえます。写真によっては、このように余計な要素が入らないところまで引いて撮ってみると、より主役を引き立たせることができます。
- 規則性のあるものの構図をあえて傾けることで面白みをだす
- 引いて撮ることで主役を引き立たせる
光を背景に、雨と被写体を浮き掘りにする方法
雨の日には雨宿りをしながら撮りたい瞬間を探すのがおすすめです。私も雨宿りしている時に面白い瞬間に出会ったことがきっかけで、よく雨の日の写真を撮るようにしています。
雨の日には、ノイズが酷くなる直前のISOや手ブレしない限界のシャッタースピードなど、ギリギリの設定で撮ることが多くなります。でもそういう撮り方の方が意外と印象深い写真になったりするんですよね。
この写真は、人のシルエットをブラしすぎないよう残して、かつ雨粒の動きも流れすぎないよう撮りたかったので、シャッタースピードをギリギリの設定に調整しています。また、光を背景にして人のシルエットが際立つように意識して撮影しました。こうすることで写真に奥行きがでて雰囲気のある写真になると私は感じています。
- 光を背景にして主役のシルエットを際立たせる
- ISOとシャッタースピードの調整が肝
小雨降る朝、雨合羽の持つ偶然性
街の中で起きる一瞬の出来事に気がついて、どれだけ早くカバンからカメラを出せるかが自分の全てだと思っています。
この写真は、雨の日に赤い雨合羽を着た年配の方が赤い葉っぱの中に顔を突っ込んで掃除している瞬間を逃すまいと捉えたものです。一瞬の瞬間を狙ったため、意識した点など詳しく説明できませんが、この写真を見ればすぐに「赤」の統一感を感じてもらうことができるのではないでしょうか。
一瞬を捉えようとして焦って撮ったので、実はかなり手ブレしてしまっていますが、Photoshopの手ブレ補正軽減を使ってなんとかここまで見えるように持っていきました。
偶然の瞬間はいつ起こるかわかりませんが、その一瞬を見逃さないために、日頃から周囲の出来事に意識を向けておくことが大切だと僕は思っています。この一枚はそんな偶然の瞬間にシャッターを切ることができた、私にとって勝負の写真です。
なので、シャッター速度は本当に重要という事です。
- 偶然の瞬間に気づいてから、いかに早くカメラを出して撮ることができるかが勝負
- 日頃から周囲の出来事に注目する
銅像の穴から見える景色に、人をはめ込んで。
これは池袋にある銅像を使って撮影した一枚。銅像の瞳として空いている穴の部分に、向こう側に動かず立っている人を入れて撮影しました。
これだけだと少し物足りない感じがしたので、なにか起きないかとチャンスを待っていたところ、傘をさしている子どもが通りかかったので思わずシャッターを切りました。写真左側が銅像の影となっていて暗く、そのシンプルさの中にポツンと人がいることでワンポイントとしてより引き立って見えると思います。
背景の明かりの温かみのあるオレンジと、傘の寒色系の青色もいいバランスの色合いですよね。
- シンプルさをより引き立てるチャンスを狙い撮る
「音」に反応してシャッターを切る
こちらは「傘」をポイントにした一枚。この瞬間が、どうやって撮れたかというとそれは「音」に神経を研ぎ澄ませていたからです。
いつも通り面白い瞬間を求めて道を歩いていた時に、後ろから「きゃー」という楽しそうな声が聞こえました。この時、「何かが起こっている」ことは予想できるので、いつでも撮れる状態で振り向きます。
すると、女の子の持っている傘が裏返り、「おちょこ」のような形になった瞬間でした。まさに、予感がビンゴだったわけです。
構図を決め、ばっちり狙って撮る写真ももちろん素晴らしいのですが、今目の前で起きた出来事にいかに反応できたかがスナップを楽しむエッセンスの一つだと私は考えています。
「偶然の一瞬」の余韻を見逃さない
- 小さなきっかけを見逃さず、目の前の一瞬の出来事に反応する
- 写真を後から見返すことで、新しい要素を発見する
どんな天候も季節も「面白がる」ことで「最高の天気」になる
いかがだったでしょうか。
私は究極をいうと、どんな天候も季節も「面白がる」ことで「最高の天気」になると考えています。だから、どんな時も、どんな天候でもカメラを持って、常に奇跡の可能性を想像・空想・予想し、その一瞬を探し歩き続けます。今こうしている間にも、どこかで思いがけない瞬間が撮れたかもしれないと、うずうずしてくるのです。
晴れの日とは異なる顔を楽しみ、切り取る
雨の日は、傘や雨合羽の色、リフレクションによる光の反射など、晴れの日とは異なる顔を持っています。今回は「雨」がキーワードではない写真もご紹介しましたが、僕が毎回ご紹介する方法は元をたどればどんなスナップにも適応できるような方法論だと思っています。
ただ、それはやっていくうちに身についていたり「ここにも当てはめられるんだ!」とそもそも違う場面やシーンに同じ要素を見つける必要があるので、かなりの練習や発想の転換が必要だと思います。この記事が少しでも、その一助になりましたら幸いです。
それでは、まだまだ暑い日は続きますが、写真を思いっきり楽しみましょう。
まとめ
- 被写体の周囲にも注目する
- 動きのある要素をワンポイントとして取り入れる
- 構図をあえて傾けて、動きを演出する
- ガラス越しの場合は、ボケすぎないように調整する
- 夜は光を背景にする事で、主役のシルエットを引き立たせる
- 偶然の瞬間はいつ訪れるかわかりません、シャッターをいつでも切れるようにしておきましょう
- シンプルさを意識する事で、主役を引き立てる
- 音にも意識を向けて、今周囲で何が起きているのかアンテナを張っておく